[ ユーリエは知らなかったが、 一行が通り過ぎた後で、陰からそっと手を伸ばす影があった。 影だけになった囚われの存在は、床にこぼれた涙の一滴に触れると、 「ああ」と小さく満足のため息をついて、 フッと跡形もなく消えていった。 ]