―談話室―
[気が付くと、ペーターとヤコブのやり取りが聞こえてきた。]
[ペーターが自分のことを気にしてくれているのは分かる。しかし、彼から少年らしくない冷たい視線が発せられている>>18のはどうにも落ち着かない。]
――でも、何もできない。
[心の中で呟く。]
――心配しなくても良い。心配せずとも、彼の刃は、きっと僕には届かないから。
[少なくとも、己自身はそう考えていた。しかし、敢えてそれを伝えることもしない。]
[ヤコブの、「この中から人狼を探す方が先」という言葉には、何故いなくなった人が人狼で、期をうかがっているという可能性に思い当たらないのかと感想を持つ。自分に矛先を向けた時もそうだ。思考が固すぎる。
…には、それが真実であるかどうかはともかくとして、ヤコブがこの村に存在する人狼を探しているのではなく、“自分が疑いたい人狼”を探しているようにしか見えないのだった。]
――昼食の準備も仕込み程度にはしておこうか。
[口をついて出た言葉は、二人に関わることではなく、そんなことだった。]