――朝:中佐の部屋→食堂――
[中佐は昨夜はお楽しみだったらしい。
彼はカスパルの報告を聞き流しながら、自身の身の潔白を強調し、己を護れと主張しだす。
生憎とカスパル自身も容疑者でありそれに添えない旨を伝えれば、今度は一刻も早い犯人探しを要求されたので、そちらには是と答え部屋を辞した。
相変わらず血の臭いは錆びた鉄で、飛び散った肉片は気分が良くなるものではない。連想で思い出すのが悪夢ではなくなっただけだ。
鼻に皺を寄せ、一度思考を止める。
まずは食事だ。
レーズンパンに卵にサラダ。肉製品を避けたのは無意識だった。
封鎖命令はそろそろ行き渡っただろう、食堂は普段より混雑しており、ひそひそ囁きあう声も聞こえる。
一角に座っているフィオンの姿を見つけ>>25、近づいて声をかけたのは、ここ数日で習慣になってきているからだった。]