[エルナには4年前、彼女が移住してきた当初から普段着や作業着を仕立ててもらっていたが、恋人を亡くしてからは以前にもまして世話になっていた。
畑仕事で鍛えられたごつごつした手は、細かい針仕事には不向きなようで、外れたボタンをつけてもすぐに取れてしまったり、裾のほつれを直しても見事なほど不格好だったり。
そういうのを見ると、彼女はいつも気安く直してくれた。
いつだったかは、編んだマフラーを半ば強引に押し付けられたこともあった。>>0:179
その楽観的で気前の良い性格は、自分とは違って前向きで明るかった恋人を思い出させて、彼女に会うときはいつも心安らぐとともに、辛くもあるのだった。]