─ 魔王城最深部 ─
[あれからもう10年。
さすがにもう追いだされることも無いだろうと思った所で此度の戦いが始まった。
やっと手に入れた安住の地、領主を奪われる訳には行かないと、前線後衛どちらであっても戦ってきたから、勇者たち一行に見知らぬ顔は無い。
かつての放浪の中、もしくは成り行きから魔に属する中で交流を持った事があった者も居たかはさて置き]
──楽しそうですね、御領主。
[それはわざわざ勇者達を出迎えに向かった道化師にもいえることだけれど。
彼ら一人一人へと視線と言葉を巡らせる魔王に抱いた単純な感想を声に落とすだけで、この場まで辿り着いた彼らへと向ける言葉は紡がないでおいた**]