目聡いな。気にかけてくれて、ありがとう。
だが大丈夫だ、彼女の前脚は新しい怪我じゃない。
昔、地雷の爆発の巻き添えで、ちょっと…な。
もうすっかり治っているんだが、元通りとはいかなくてね。
[彼女の視線が胸元のタグに向いたのには、男も気づいた。
IDタグに同じものが2枚ある理由と、分割式のそれが
既に分かたれていることの意味を、知る人もいるだろう。
かつて軍属だった頃の名残、男の胸元の二つの半月に刻まれた
情報は、全く同じものではなかったが]
…そうだな。フリーデも歩き通しだし、少し休むのもいいか。
よし、豪華なお茶会といこうじゃないか。
チョコレート味と、ベリー味と、犬用、どれがいい?
[差し出された水筒を、礼を言って受け取り。代わりに、
荷物を漁って携帯食を3つ取り出し、冗談めかした笑みを浮かべた]