…は、
[口で顔を覆い考える。次は誰を襲うべきなのだろう。狩人は片付いた。順当に行けば最後の能力者であるシモンだろうか。
嫌だ。殺したくない。けれど、人狼として考えればそれが最善だ。狼を守りたいと言ってくれたオットーの意思だって無下にしたくはない。
…もう、何を選べばいいのかよく分からない。]
(そんなのどうでもいいじゃねぇかよ)
[ざわざわと頭の中で本能が囁いた。いっそ完全に本能に身を落とし楽になってしまいたいと願う、誘惑。
足りない。足りない。血が足りない。もういっそ誰でも良いじゃないか。全員食べてしまえばそれで終わる。
もっともっともっと―――]
[思わず力をいれれば、壁に獣の爪痕が残る。
それはこの宿に人狼がまだ残っていることを示す、証。*]