[アイリ・フォールデンの死。
それを聞けば、ウェルシュの肩は目に見えて揺らいだ。
自然と、目は幼馴染の顔の上へと向かう。
彼がずっと気にかけていた人の名前だ。
助けたかったのではないかと思う。その彼女が、死んだ。
皮肉にも彼と一緒に、別々の場所で。]
……そうか。兄上も戻られたのだな。
[低く呟き、頷けば軍医らが到着したのだろう。人々の声が増えた。
傍らからリヒャルトから手を放すよう声を掛けられて暫し。
もう一度、名残惜しむ風情で彼の上に視線を留めた後、寝かしつけるように丁寧に彼の体を横たえる。]