[樹を伝い、屋根へと昇る。先日の嵐の影響で、少し痛んだ部分が見つかった。ローゼンハイムの部屋から工具を借りて、修繕のまねごとを試みる。力仕事や大工仕事ならどこの土地でも、何とか使いものになるレベルだった。金槌の音を響かせながら思案する。先のリヒャルトの言葉>>22が木霊した。 ――おおかみはさ、見つかりたくないと思うんだ。助けて欲しいと訴えているように感じられたマレンマは違うのだろうか。探し方の前提が、間違っているのだろうか。考えはまとまらず、夕食の時間を迎えるのだろう**]