[ 廊下に立ち尽くしているとカスパルに道の邪魔になっていると声を掛けられた。
いつもの敬礼を忘れて首だけでカスパルに振り返った。 ]
……サシャ殿が自害したと聴いたであります
狼化病の嫌疑を受けていたとも耳にしたであります
しかし、今日もまたフィオン殿が犠牲者になったと聴いたであります
まだ、狼化病の者が捕まってないことになるであります
……カスパル中尉殿、一つだけ答えて欲しいであります
――…なぜ、サシャ殿は自ら死しなければならなかったでありますか?
[ カシムは何も映さない瞳をカスパルへと向けていた。* ]