―現在/ゴールデン・グルトップ号:食料庫前―
[大男は激怒した。
必ず、盗みを働いた邪智暴虐の輩を除かなければならぬと決意した。]
どこ行ったんだ俺の蜂蜜…!
[バターをふんだんに使い、ふんわりときつね色に焼き上げた、ほんのり甘めのクラシカルなパンケーキ。
それを5枚重ね、厳選に厳選を重ねた秘蔵の黄金を上から惜しみなく掛けるのが、
甘党であるこの男の、今日1番の楽しみだったのに。
隠してあったはずの蜂蜜が、壷ごと丸々なくなっていた。
熱々のパンケーキに掛けるのが至上の喜びだというに。
仕方無しと妥協して、メープルシロップを探そうと来たのだが。
何故か食料庫の扉はロックが掛かって開かないときた。
いっそ陰謀説を唱えたくなるぐらいの見事な重なりっぷりに、悔しながらに地面を叩く。
それぐらいは許されてほしい。
食の恨みは怖いとはよく言ったものだ。
早く蜂蜜を見つけなければ。
そう使命感に駆られるのは構わないが、刀を腰に佩いた大男が食料庫前で地面に蹲っている状態なので、邪魔なことこの上ない。*]