―― 第二エリア・ホテル ―― ……くたばれ。[焦点の合わない胡乱な目で空を睨むが、そこには当然誰の姿もない。ぐちゃぐちゃと乱れた白いシーツが、視界の片隅にぼんやりと浮かぶ。なんのことはない、自分の寝相と二日酔いと、夢見のせいだ。表情のない赤い瞳が、伸ばした右手をぼんやりと眺める。例えば――…とうの昔に手のひらで溶かした、ひとひらの雪の残滓を確かめるように。もう一度口の中で悪態を繰り返した頃には、目はすっかり覚めていて]