[飛び掛ろうとされれば、牙を避けようと身を捩じり。体勢を崩したところに、体当たりをまとも受け。跳ね飛ばされた身体が、バルコニーのガラスドアに強く当たった] ―――…クゥ…ッ![叩きつけられた衝撃と、一部割れたガラスが、左腕の銃創痕近く身体に刺さる、鋭い痛みに。獣の血の匂いをさせつつ、かろうじて立ち上がり。飛び掛ろうと身構えるも、ふらつき果たせず。低く唸り、間合いを測るかのように、錆色の獣を睨んだ*]