俺は人間なんでね、その仮定は必要はない。
[不遜な態度を隠さないオットーの言葉に乗っている殺意>>22を読み取りながらも、軽く受け流した。まだ騒動が始まる前、平穏な空気の中で軽口を言ったときのように。
何故ならオットーが本気だと思ったから。普段通りの様子でありながら、明らかに殺意が一介のパン屋とは思えないものであることで。但し此処では殺意の応酬をする気はないし、する意味もないので、いつもと表情を変えずに答えた。
それでも目には隠そうとしても隠し切れない好奇心が浮かび上がる。
自分の意思がないと評価した青年が初めて大切と告げた内容と、人狼をも恐れないと放つ殺気に強く興味を惹かれた。
なるほど、その基準が“僕に仇なす者があるかないか”ならば、確かに相手の正体とは無関係だ。今回の騒動で誰かの命を奪ったのは、人狼だけではない。他ならぬ自分もそうであるし。]
……。
[次の瞬間、殺意が完全に消えたように感じるオットー>>23をじっと見つめた。何を言い出すのかと内心楽しみにしながら。最後まで話を聞くと、ひとつだけ首を縦に振る。]