鐘の音、か…。
[ある詩の一説を思い出しながら、続けられた言葉の先に意識を向け直す。>>4:112
そこで差し出されたのは、彼女が描いただろう絵だった。
出された絵は、良く見なければ朱いの一言に終わってしまいそうなほど、激情が蠢いて見えた。
穏やかな謐けさなどない黄昏だった。]
…俺に?
[その真の意味が理解されずとも構わなかった。
ただ、一歩分、この距離を詰めるようにして言葉を重ねる彼女の絵を、受け取る。
彼女の想いの丈がここにあるのなら。
芸術理解には聡くない身だが、望むなら答えようと。]