よろしく、の前に、ひとつ聞かせておくれ。
[僅かに震える右手を、胸元で握り締める。
場にそぐわないとは思いつつも、向ける眼差しと口調が、険しいものとなるのは抑え切れなかった]
アンタのその姿は、天界のものだろ。
アタシさ、世界の中枢って、中立な存在だと思ってたけど……違ったのかな。
[神子個人への敵対心はないし、魔界と天界の関係なども知ったことではない。
ただ、鬼の一族が背負う魔界からの干渉という咎の存在を、キアラは一度だって忘れたことはなかった]
この世界を護っているのも、天界側の力なんだとしたら――……
[魔界の血脈はやはり、この世界に存在するべきではなかったのか。
どこか弾き出されたような疎外感を受けながら、神子の前で立ち尽くした*]