あーあ。
このまま完全に僕の頭が可笑しくなったら、
責任とって今度はずっとお傍に置いていただけますか?
……なーんて。
我儘は言わないのです。貴方は、愛多き人だから。
可愛くない我儘は、罪でしょう?
[そう言いながら振り返る男は空色を細めて、口元は三日月の様に弧を描いた]
そうだ、でも一つ思いつきました。
もし、このゲームで勝ったら御褒美に。
僕だけの名前が欲しいです。
一つだけの、特別が欲しいです。
―――御父様。
[澄ました微笑みを見せてから、自ら締めていたタイを緩める。シャツのボタンを外して、爪先で白い首筋をなぞった]