――深夜・リーザ襲撃後―
……は、……
[オットーと話した後の深夜、自屋に戻る廊下を歩きながら。
酷く体がだるかった。ぐるぐると先程手にかけた少女の笑顔が浮かぶ。別にそこまで子供が好きというわけでもないが、友人の家で見かけるたびに何となく構ってやっていた。
人見知りな彼女が、自分に人懐っこく笑みを浮かべるようになったのはいつからだったろう。]
う、ぁ…
[がり、と爪が廊下の壁に食い込む。嗚咽が漏れた。
…俺は『救われた』のだと。そうシモンには話した。決して嘘ではない。心からの本心だった。
でも、同時にそんなものでは決して救われないのだとも知っている。
一番心の奥底にある本当の願い。
この騒動がどういう結末を迎えるにしても、それが叶うことはもう永遠に…無い。]
―――ぁあ、ぁ、ア……、――……
[声にならない声が溢れる]