[ 名前を呼ばれ、顔を上げるが
涙に濡れた王子の顔を直視できぬまま、
着いた膝を濡らす血だまりに視線は留めて
暴動は。問うことばに、またひとつ。
恐らく息絶えた総督の崩れ落ちる姿を
ありありと、瞼の裏に蘇らせる。 ]
はっ。暴動は、
……暴動は、一旦は鎮静化致しました
……白狼騎士団、総督である、
アイリ・フォーデルン様の、犠牲を以て。
まだ、門前は統率の取れなくなった両兵で
混乱を極めてございますが。
フェリクス王子が戻られ、その指揮下のもと
間もなく鎮静化することと、思います。
フェリクス王子の護衛は勿論、
軍部の上官や、シュナウザー監査局長なども
その場におりますので。
[ 総督を、賊とは申しません。
様を付けたままなのも、彼女に対する敬意で。**]