有難う。
アンタが彼奴の従華じゃなくて、ルートがこの世に存在してなかったら。
俺が惚れてたのはアンタだったかもな、ナネッテ・ナイトレイ。
[爪の先に軽い口付け。
にんまりと笑って、何処かから非難の声が飛ぶ前にさっさと背を向ける。
近くで待機している青年の方へ向かい、しかし声を掛ける前に一度だけ振り向いた。
遠ざかる青い狩衣に向かって、子供のような笑みを。]
──
楽しかったな、また
[呼んだのは、音にするのが初めての彼の名。漏れ聞こえた会話>>+29に、喉に引っ掛かっていた小骨が取れたような心持ちで。
背を向けた男は、己の従華たる青年の方へ今度こそ歩み寄った。*]