[立ち上がり見回せば、もはや戦闘は殲滅戦の様相だった。命乞いをする騎士などひとりもおらず、背を向けて逃げ出すものさえもなく、結果として、最後の1人までをも殺しつくす戦いになる。戦いの音が消えた戦場は、酷い有様だった。寡兵とはいえ王国騎士の実力は民兵とは比べ物にならず、従う歩兵たちもそれぞれに勇猛だった。彼らが、シロウの遺志を背負って戦っているのだとは気づくことはなかったが。多くの者が傷つき倒れ、立っている者も重い疲労を背負っている。そんな戦場を見回して、背を伸ばした。]