[彼が叫んで短剣を構える>>2:555炎の精霊が、彼を守るようにして渦を巻く。息が詰まる。打ちかかられた刃を横に払う。そして返す刃で突き入れる───]……っ、は、[刃が術者の胸を貫くと同時、炎は幻のように掻き失せた。石造りの城壁であったことが幸いしたのだろう。炎は、辺りを少し黒く焦がした程度で終わったようだった。遠目に見れば、時ならぬ灯火が城壁に不意に灯って消えたように見えただろうか]