[その瞬間、室内に見えたのは赤に沈む緑>>2狼に喰い散らかされた家畜の死骸みたいに、無残な姿に成り果てた人の遺体。惨劇を直視した衝撃で、力加減を誤った。リーザを引っ張った勢いで、足元がふらついて尻餅を付く]こ、れ……ッ。[一瞬、誰が倒れているのかわからなかった。見た光景を、脳が拒絶して理解を妨げる。一拍遅れて、衣服や背格好といった特徴から、数日前から姿を見るようになった旅人だとわかった。彼を憐れむ涙より先に込み上げてきたのは、猛烈な吐き気]