― スラム街・路地 ―
[どうやら銀髪の女性は少女があれこれ言う以前から、
こちらのことをちゃんと覚えていた模様。>>22
笑みをつくって挨拶を返す女性に、
少女も形だけの笑みを見せようとしたのだけれどうまくいかなかった]
家族が経営しているお店。
……そう、なんだ。あなたとあの店の人、あんまり似てなかった気がするけど。
[家族、と口にする少女の心中には、
家族という存在を持つ者への少なからぬ羨望があった。
顔には出さないように、とは思う。しかし結局笑ってやり過ごすことはできないまま]
今朝も着ていたよ、店の裏手の厨房で。
[ただ事実だけを告げる。感情を隠す裏返しの素っ気ない態度で]