[急いで階段を上がり、談話室へと早足で進む。目的の通信機は軍へと即座に繋がるよう設定がされている。そういえば初めて触る。到着の報告は中尉殿がしてくれたのだろう >>1:91]
――こちら、陸軍士官少尉 ファミル・シェリー。
応答願う。緊急だ。
――…?聞こえているか?こちらファミル。応答願う。
[軍の通信室からは何故か不釣り合いなノイズが聞こえる。
島を知る軍の者から、彼の通信は期待しないほうがいいと笑い話に聞いていたが、これがまさか現実とは。]
――緊急事態だ、人が死んだ。
明らかな不審死だ、応援願う、聞こえているか。
[ノイズの端に了解した、という声が確かには聞こえた。
だがそれが最後だった。その後はノイズ音だけがその耳に届く。…配線の具合かとあれこれと調節をしてみるが、うまくはいかない。]
…くそ。
[珍しく歪ませた表情を、他人―とりわけ自らの部下―に見られることがなかったのは唯一の救いか]**