―白い森―
[場所の見当ははじめからついていた。特に迷うことなく、導かれるように、その場所へ歩を進めると、無残なゲルトの遺体を目の当たりにすることとなる。正確には、状況からゲルトの遺体であると推察される遺体を、目の当たりにしたのだった]
――最早、遺体と言って良いのかも怪しいものだけれども。
[喰い残し――という言葉が自分の中ではしっくりくるのだった。
勝手知ったる相手の遺体を見ても、特に何も感じることはない。こういった無残な遺体を見ることははじめてではないし、敢えて理由を付けるのであれば、ゲルトの死はとっくに感知している。
近くに聳える深く抉られた無残な樹氷は、ゲルトの遺体を見下ろして嗤っているかのように見えた。]