…折角殿下が勧めて下さったのだし、
医務室に行ってきては如何でしょう?
残念ながら――ボクはこの後用事があるもので。
[ 気楽に接してくれれば、と、言った
舌の根も乾かぬうちに固い口調で
ブライアン尉官へと王子の言葉を流して
執務室の方へ去りゆく背を送りながら
画家は密かにため息を吐く。
威風を王の血と言うのは簡単だけれど、
『苦手』と称するのが矢張り相応しいと
傍らの女性に別れを告げて歩き出しながら
内心では当人に言えないようなことを考えていた。* ]