[泥のような眠りがふと晴れたのは、朝と言うには早い、けれど深夜と言うには遅すぎる、陽の白さが辺りへ滲み始めた頃の事] ……っ、[時間を理解して直ぐ、投げ出したままだった上着を引っ掴んだ][廊下に異常は無い。二度も繰り返したのだから、今夜は皆鍵を掛けて眠ってくれただろうと信じ、足早に階段を下りていく。使うのは裏口。厨房からはマッチを、厩舎の所からはホークを拝借して、表へと回り込もうと][けれど移動の最中、通りがかった肥溜めになにか、昨夜はなかった黒っぽいものが見えた気がした]