人狼物語−薔薇の下国

283 少人数で人狼BBS人狼騒動RP村3 ― 白銀の村 ―


パン屋 オットー


 ――ありがとう。これでも私、貴方には感謝しているの。

 [かつて、彼女に脈絡もなくそう告げられたことがあった。別段、感謝の意を伝えたくて放った言葉ではないのだろう。恐らくは、そう伝えたいと気まぐれに自分が望んだから伝えたというだけのこと。其れに対して己は「どういたしまして」と、教わった通りに応える。そのような関係が、感情が無いなりに心地よかったし、相手も恐らく同じだったのだろう。悲しみ、怒り、喜び、憂い、様々な感情を惜しげもなく、思ったままに表現する彼女の見せる表情も、次第に笑顔が増えていっていたように記憶している。]

 [そしてその日々は――その関係は――忽然と失踪するかのように、足音も無く、突如として終わりを告げた。彼女が前触れもなく、村へ訪れなくなったのだ。いや、もしかすると前触れはあったのかもしれない。しかし、少なくとも己にとっては突然のことで、自らに蓄えられた彼女の望みが瞬く間に霧散していくのを、ただ茫然と見守ることしかできないのだった。]

 [その後、再び彼女が現れたのは、おおよそ一年と半年後。冬に差し掛かり、村が閉ざされる直前のことだった。]

 ―回想・約十年前B終了―

(25) 2014/12/16(Tue) 20:49:02

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