― 『神魔の領域』・森の中 ―[絆の花が、僅かに指先から離れた。 拒絶というより、思考する動作に付随して自然に、というものであったが] 気付かれていなかったんですね。 師匠ならもしや、とも思ったのですが。[入浴とか着替えとか、危うい場面もそれなりにあったと思う。 もしそうなら、唯一師を出し抜けた点だったかもしれない、と。 何か含みのありそうな物言いには気付かぬまま、小さく笑った]