[ベルティルデの返事はどうだっただろう。
手伝いが望めるようならば彼女と二人で。
無理なようならばカークの身体を抱き抱える形で
医務室へと作業用通路を経由して向かった。
その際、普段はロックの掛かっているはずの通路と通路を結ぶ扉が
何故かロックを解除されている>>1:#17ことにも気付いた。
同時に誰かがその通路を使った形跡がある>>1:185ことも。
けれど、その時はそれらを詳しく調べている余裕はなく
情報の一つとして頭の中に止め、医務室へ向かっただろう。
その間にも、カークを支えない左腕は意図的に空けていた。
"人狼"が何時誰に牙を剥くとも限らないからだ。
そうして医務室へと着いたならカークをベッドへと寝かせて
ミイラ男とでも呼べるくらいに包帯を巻いたのは
不器用なのではなく、必要な処置だったからだ。
…ダーフィトはそう信じていた。
――尤も、頼りになる後輩がその場にいたなら
たちまち巻き直されることになったかもしれないが。]