――訓練室――
[一発目、弾は大きくそれていく。]
肩の力を抜け。足を少し開け。
高さは眼の高さで――ん。
[指導を入れてもカシムの体から緊張が抜ける事はなく、彼は何度撃っても本来貫くべき箇所を撃てはしなかった。>>24
カスパルは銃を握るカシムの手ごと握りしめ、訓練の中止を伝えると、彼の手から銃は取り上げて代わりに頭の上に手を置いた。]
撃てないなら構わない。
撃たずに済むにこした事はない。
お前はあまり向いていなさそうだしな。
だが、撃てないのなら撃たれるような事はするな。
[拒否されなければカシムの頭の上に置いた手を動かし、撫でる。彼が望むならば守ろうと思ったのは、弟に重ねたたからか。
部下への責任感だろうか。
それとも、見覚えがある気がする容貌の所為だろうか。]