昨夜の夕飯、ゲルトにも手伝ってもらったけど、俺がメインで作るのは初めてだからさ。ちと心配だったのに、普通に食べて貰えて良かった。
[ヨアヒムが夕食の前にオットーが作ったものを口にしていたとは全く知らなかったが、食欲にさして変わりがないように見えたので、心から安堵している。]
昨日はゲルトの希望を通したから、今度はヨアヒムに聞くよ。一通りレシピを教えて貰っているし、食べたいものがあったら頑張って作る。
[毎年宿へくるヨアヒムとは単に顔を合わせるだけでなく、夕飯やティータイムのときに会話を交わす間柄だ。
この宿屋は村で唯一の宿泊施設なので三階立て。一階に温泉を引いた広い浴室と談話室があり、客室は二階以上に振り分けられている。
ヨアヒムは上の部屋に泊まっているが、自分は仕事の都合やら何やらで、現在一階にある従業員部屋を使っていた。]
もし何かあったら、いつものように従業員部屋に声をかけてくれ。
[そう告げたあと、目を擦りながらふにふにしているゲルトに視線を向けなおし、”顔を洗ってきたらどうだ?”と言った。先ほどヨアヒムに気付け変わりに背中を叩かれたのに、再び眠気に襲われているようだ。**]