[同じ図書委員会に属する彼と出会ったのは、2年生の時。
高所の本を取ろうとしていた所、バランスを崩して落下する彼を、文字通り身体を張って受け止めたのが始まりだった。
もっとも、頭を打って脳震盪を起こしたらしい自分が目覚めたのは保健室で。
目覚めるまでずっと、そばにいてくれた彼に手を伸ばして、彼の手に触れたのだったが。
指の長い彼の手は少し冷たくて、『ありがとう』と告げたとき。
一瞬驚きに見開いた彼の瞳を、今でもまだはっきりと覚えている。
困ったような彼の曖昧な表情に、なぜだか胸が胸が締め付けられ。
心臓が毛羽立つように胸がざわついた。
彼が自分と同じ学年だと知り。
それ以来、いつも教室の外で彼の姿を探すようになった。
彼が同じ委員に入って来た時は興奮で寝付けないほど嬉しかったのに、運命は残酷なもので。
奇跡的に担当が被ることはなく、いつもすれ違いばかりの日々だ。]