― 始まりの刻/洞窟 ―
…どれだけこの日が来ることを、待ち侘びたことか…
[永かった。
太古の昔、彼の戦争を戦った祖がその身を大樹と化し、一族の選ばれし子にその記憶を継承し続け幾千年。
王の帰還を待つ時間は、一人一人は数百年と言えど、途方もない記憶が蓄積されていた。
普通、ダークエルフの肌の色は褐色だ。
この肌の色は、一族が繰り返してきた自らの品種改良の副産物ともいえる。
永かった。そう、口の中でだけ、呟き、印を結ぶ。
ゆったりとした暗色のローブに身を包み、肌の白いダークエルフは洞窟へと姿を現した。]
よく来たね―――”門”の”鍵”。
[>>18 結晶へと触れている男の背後から、笑み含みの声をかけ。
流れるような所作で、男の背後から暗黒色の刃を突き立てた。]