──レーギャルンボックスに入る前に──
[ちらりと、エディの姿が視界の端に入り
少しだけ気まずげに眉尻を下げて、
もし視線が絡んだなら顔を背けただろう。
自分は、彼が殺されると知っていて
同胞を止めなかった。
それどころか自分だって食べそうな所だった。
そして、人として悲しむ事を否定されたからと
きっと八つ当たりをしたのだ。
一番、彼と一緒に仕事をしていた人に。
謝ることはない。
謝ることはできない。
けれど、暫し彼から顔を背けていたが、
顔を俯けたまま小走りに駆け寄って、
指先に咲かせた花を一輪差し出すのだ。
受け取ってくれたなら、泣きそうになって
けれど何も言わないまま背を向けて。
受け取ってくれなければ、唇を噛んで。
やはり何も言わずに背を向ける。
そうして金の尻尾を揺らして
他の皆の元に合流しようとするのだ。
彼に差し出したのは花菱草]
[花言葉は「私を拒絶しないで」]*