―屋上―[霧が深い。今が昼か夜かもわからない。吹き抜ける風は強く冷たく、飛ばないように帽子のつばを押さえている] ……本当に。 吸血鬼になったことを後悔したことなんて、 なかったんですよ。 僕はそもそも、深く考えて悩むタイプでもないし。 今が良ければそれで良いかなって。 ――だって、真面目に考えるのって疲れるでしょう。 疲れるんですよ。 その上、上手くいかないことも多いし。 馬鹿馬鹿しいです。 適当に表面だけ取り繕って、 美味しい所どりしちゃえば良い。