[────がつ!と、高い音が響いた。剣と槍とが打ち合わされる>>19痺れるような衝撃を腕に感じながら、手首を返した。些か強引な動きで槍を少し引き、打ち合わされた剣先を弾き上げるようにして槍先を上げる。視界の端に、ちらりと動くものがある。それはこの砦を守る民のうちの一人>>2:373であった。知らせを届けるべき相手は、今はとても言葉交わせそうにない。どうしたものかと狼狽える間にも、目前で槍が振るわれた。その隙に密やかに抜ける者>>20があること、その姿が捉えられることはなく。]