[注意の声をあげると、軽歩兵が足を使って枯れ草を散らそうとする。
その際に枯れ草に振りかけられた油が皮鎧へと付着する。
これでは逆効果だ。
今すべきことは枯れ草を散らすことではなく、火矢を警戒して後退することでもなく]
重歩兵!盾を密集させろ!
矢が飛んでくる隙間を作るな!
[だが、罠に気づいて命令を出すより先に、仕掛けた相手の動きのほうが早い。
正確な射撃で放たれた火矢は違わず枯れ草に燃え移り、瞬く間に広がってゆく。
それだけではなく兵に飛び散った油へも引火し、兵は火の粉を散らそうと身を捩る。
幸い皮は燃えにくいのか一瞬で炎に包まれるということはなかったが、それでも兵が動揺する効果は十分に出ていた]