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知らず険しい顔になっていた男の耳に優しい囀りが聞こえてくる。
夢の中でも聞こえていた囀りは、机の上に置かれたホログラムからだろう
ホログラムは、ピンク色の翼を持つ、愛らしい小鳥が飛び回る様を映し出していた。ピンクの小鳥が、魘されてる様子を見て悪い夢から引き戻してくれたのだろう]
ありがとな、シレネ。
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『シレネ』
鳥にしては珍しい薄桃色の翼が、薄桃色の可愛らしい五弁花を咲かせるシレネという花によく似ていたため、そう名付けた。
確か調合部の女性>>19も小鳥の名付けに一役買ってくれていたような気がするが…
男はシレネをとても大切にしていた
最後を自分の目で看取ってからもう何年もたつのに、ホログラム上のシレネのふわふわした小さな頭をとても優しい笑顔で撫でる位には。
しばし感傷に浸る男であったが…
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ぐぅ〜〜…
[男の腹が空腹を訴えた
そういえば、今日一日は報告書に気を取られ何も食べて居なかった
誰に聞かれたわけでもないが少々顔を赤らめ、報告書をほっぽり出しメイン・サロンへ向かうだろう
メイン・サロンの事を考えると、ぼんやりと誰かと約束をしていたような気もするのだが、特に考える事はなかった]