― 回想/3年前・キガン島岸壁 ―
…………つっ……
しくじった……。
[3年前。
16歳の少女は、右手首を左手で強く握り、岸壁半ばの岩の上にうずくまっていた]
[絆石を持って生まれた少女は、物心ついた頃から、心身と魔力の鍛錬に明け暮れていた。
ここはそうした修行によく使う場のひとつで、住人が好んで寄り付かない険しい岩場であった]
[この日少女が試みたのは、魔法の出力を限界まで高めること。
天命石の持つ雷という激しき力を、激しきままに操ろうとした少女は、限界を見誤りしっぺ返しを喰らった。
強力な雷撃が、掲げていた右手を打ったのである]