使者の姓名身分を確認次第…いや、俺が行く。
[水上機母艦へ向かうための足の速い小型艇の手配を指示してから、男は新兵にもう一つの命令を出した]
俺が出たら提督に使者の件を伝令。後は提督の指示に従え。
[使者がどんな用件でやってきたのかの見当はついていた。
モルトガット帝国の周辺からやってくる商船や他国から戻った傭兵部隊が、帝国艦隊の動きについては情報を齎してくれていたからだ。
だが、男が予測したよりもその到達は速い]
少々厄介なことになるかもしれんな…
[苦く呟いた男は、使者の顔を見た途端に、更に苦い顔になったのだが、その本当の理由は当の帝国扶翼官以外に知る者は少なかったろう**]