迷子、迷子か。
確かにそんなものかもしれないなあ、地図を知ってるわけじゃない。ただ山道を真っ直ぐ登ればいいと聞いてきた。
縁があるなら着くだろう、見つからないなら、きっとまだ行くべきときじゃないんだ。
[男を見上げ、にやりと笑う。
その胸元で、何かが光を弾いてきらりと光る。その作りを見て、軍属のひとだろうかと口を開きかけるが、分割式のタグが分かれて見えたので、咄嗟に口を噤んだ。もとから二枚のものなら形は同じと聞いたことがある。
気になったことの方を、聞くことにする]
この子、左脚、怪我でもしているのか? 山道は大丈夫か?
行き先が同じなら担げるぞ、結構力があるんだ。
何せしんどい道だね。ここは気持ちがいいよ、少し休んで行くなら…
[荷物から水筒を取り出し、どうかな? と差し出した]*