[ウェルシュがこの部屋を離れてからどのくらい経っただろうか?
檻を揺するのにも飽きてその場に寝っ転がる。
見えるのは真っ白な天井ばかり、時間を教えてくれる物なんて何も無い―最も、例え空が見えてもそれは変わらないのだけど。]
退屈だなー…お星様も見れないし。
[―人間の旅芸人一座に紛れてみたり、あるいは単独でだったりと様々だが、人間界に居た頃は人間に扮して街から街へと旅をしていた。
昼は芸で日銭を稼いだりこれはと思った相手と『お話』(天使からすれば誘惑)したり、そうして夜になれば丘の上や木のてっぺん、時々は宿の屋根の上、兎に角そんな高い場所で、こうして寝っ転がって星空を眺める事が好きだった。
―夜の無い天界では星は見れない、ひょっとしたら見れるのかもしれないけどこうして閉じ込められている以上それを知る事も出来ない。]
…本当に、どうしてこうなっちゃったんだろうな…。
[人間界に戻りたい―と、そう小さく呟きながら*形だけ目を閉じた。*]