―城へと至る獣道―[>>18"普通の女の子に見えるんだがね"この作戦を指揮する青年の言葉に、ユーリアへと視線を向ける。そうだ――彼女は笑わない。 教会の中庭や聖堂で見かけるたびに、いつもどこか遠くを見ているような瞳でいる彼女に、気が付けば顔も思い出せない母を重ねていた。 聖女と呼ばれていた母も、こうやって怒りもせず、涙も流さず、微笑み1つ浮かべることのない人形のような人だったのだろうか――と。]