[既に、和平を唱える声は殆ど聞こえなくなっていた。慎重意見すら、売国奴、臆病者と非難される。リエヴルが慎重であること、また状況を有利に運びたいと考えていることは、誰しもが知るところではあったにせよ。そんな彼でさえ、“トゥーレーヌ公は臆したか”と揶揄されたものである。戦端が開かれれば、盛り上がる国内世論とは裏腹に、思い溜息をついたのだった。]