[ ……幾度も覚えがあった。
学者の脳に巣食う『ガルー』は、
理性で押さえつけられることを好まない。 ]
[ 故に飢えを満たすのに不十分な
感情を抱いている、と。判断すれば
容赦なく"そんな感情などなかった"のだと。
直接思考を歪めてきた。これまで、何度も。 ]
[ 思考を幾度も書き換えられた自覚はあれども、
変わってしまえば何が変わったのか分からなくなる。
それが当たり前なのだと、新たに書き込まれるせいで。 ]
[ 今も。また。 ]
…… …や め、 ――――――――… !!
[ 脳を弄るおぞましい感覚に
抵抗しようとしても。
伸ばした手が壁に爪を立てても、
奪い去られる何かを掴むことは、 ]
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