まぁ、僕自身としては僕の命なんてどうでも良いのだけれども。
[直後に、言葉に乗せた殺気など初めからなかったかのように、痕跡すら残さずに殺気を蒸発させて、そう告げる。]
かつて、ある人に“生き続けろ”と願われた。僕にあるのはそれだけ。
自身の命に危機が迫ればその願いに従って逃れようとするし、そうでなければ何もできない。
そもそも僕は、そういう存在(もの)だ。
[と、初めて“彼女から授かった呪い”のことを他人に告げる。どうして今更そんなことを、しかも、相手がどれだけ理解できるのかも定かではないようなことを、このタイミングで告げたのかは、己にもわからなかった。]