―――っ。
[珍しく強い口調で反論され驚いたようにシモンを見る。>>21
何度か目を瞬かせれば、照れたように、けれど少し哀しそうな笑みを浮かべた。]
………ありがとな。
[頭をぽんと撫でられふいに思い出した。
酒を酌み交わしながらシモンに告げられた言葉。遠慮してんじゃねえよと。死ぬ間際のディーターも言っていた。どうして己の正体を言わなかったのかと。
――今になって改めて思う。
大事な友人達。なら何故もっと信頼し、もっと早くに助けを求めることができなかったのだろう。警戒心と臆病さと負い目をひとり抱え込んで、招いた結果がこのザマだ。こうして向けられる言葉の通り、自分が何であろうと彼らならきっと受け入れてくれたに違いないのに。]
……俺は、馬鹿だな。馬鹿だ。
[もう何もかも遅い。それがわかっているからこそ多くを語ることはせず、ただそれだけを呟く]