― リオレ島拠点内 ―
[リオレ島へと帰り着けば、軍港は一気に慌しくなった。
艦が順次、修理・整備にとまわされ、辺りは賑やかな音に包まれる。
艦が次々と整備されていく様はストンプのドックにも似て、或いはウェルシュの耳目を奪ったかも知れなかった。その中にあって、ゲオルグ・ヒューベンタールの名でひとつの特命が指示される。
シュテルン・シエル少尉は水上機母艦クラーニヒを離れ、
ウェルシュ・ストンプ候の護衛の任を命ず。
以後は別命あるまで、本命を以って待機せよ。
程なくして、リオレから一隻の小型艦がストンプへと向かっただろう。ストンプとは補給のこともあり、この戦い以後ますます船舶の往復が増えているから、その小さな艦はそれらに紛れて目立たぬものであったかも知れない。
だが、それは小さな希望を乗せた艦だった。
明日に繋がる光を乗せたかも知れない艦だった。]